本展では会場の空間を活かし、壁面、ガラス面、空間へそれぞれ線・面・立体の状態で作品を設置した。
ギャラリー内可動壁面へ一直線に唇の形を転写する《たゐに》では「大為爾の歌」を発話する。学習教養書である写本『口遊』に記されているこの歌は、田、菜、船、山城など、成安造形大学が位置する滋賀の自然や豊かな水源を彷彿とさせる言葉を含んでいる。
ガラス面を支持体とする《phonation -Out of the window-》は、視線の高低を意識しつつギャラリー内側から見える景色を発話。
《phonation piece-syllabary-》では、口内に樹脂を入れながら“あ”から”ん”までのひらがな46音を1音節ずつ発音し成型した立体を、ライトテーブル上へ五十音順に並べる。
音声の姿を、唇の形状転写から口内の型取りへと自身の表現が変化していった流れに沿って展示。
動画撮影・編集:片倉康輔
展覧会概要
作家が制作を始める時、そこには静物、風景、人物など作品化するべき対象が存在します。身体から生み出されるパフォーマンスや対象物を持たない抽象作品であったとしても、それは自らを写し出す鏡として、作家自身を対象化することになるでしょう。取り上げる対象と制作の動機は作家によってさまざまですが、それらはどれも特別なものではなく、私たちの身の回りに溢れている日常の一コマ、あるいは旅先での出会い、そしてそれらを見つめる作家自身の中に存在しています。しかし、ある動機に基づいて選択されたありふれた対象は、作家独自のメソッドに沿って展開/転回されることで、新鮮な印象を与える作品として提示されることになります。会場で私たちが出会う作品たちは、どのような方法に基づいて制作されているのでしょうか。本展では、作家が独自に実践する制作方法(メソッド)に焦点をあて、対象がどのように展開/転回されていくのかを見ていきます。
ご来館のお客様へのお願い
来学時の事前予約は不要です。
ただし、今後の新型コロナウイルス感染状況によっては事前予約が必要となる可能性がありますので、Webサイトをご確認の上、お越しください。
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また、マスク着用、手指消毒、入場制限など感染予防のご協力をお願いします。