声を出しながら唇をあて移動することで口紅の痕跡を残すphonationシリーズを出展。「Phonation -NO-MA-」と題し会場のガラス戸に制作した。
本作品の展示会場であるボーダレス・アートミュージアムNO-MAは、昭和初期に建てられた町家「野間邸」をリノベーションした美術館である。
1F・2Fともに、ガラス建具が外光をよく受け入れており広さと明るさの感じられる居心地のよい空間だった。
展示室2F、北向きのガラス障子越しには日牟禮八幡宮や、八幡山ロープウェーを見つけることができる。
本展示ではNO-MAの建築を歩き、展示室内にて聴き取った音、見えた景色を窓ガラスに唇拓し、音声の形に起こす。
ガラス越しに視る風景、部屋の中で聴き取った音、ふたつに共通することは、じかに触れることができないということである。
現代の情報社会において、私たちの身の回りには、様々な文字とことばが溢れている。街なかの標識・看板から新聞やテレビ・SNSに至るまで人が生きるなかで不可分である文字やことばであるが、そこには単なる情報伝達の手段を超えて、言霊といわれるように、“発し語り記す”人間の思考や感情のみならず魂さえ宿すこともある。
文学に限らず現代美術やアール・ブリュットの表現者においても文字やことばを扱った表現は珍しくない。本展では、“視る読む聴く”をキーワードに、文字とことばの持つメッセージやエネルギー、手書きからデジタルによるタイポグラフィーとしての造形など創造性豊かな作品を幅広く紹介し、日常とアートについて再考するものである。
本展アート・ディレクター、美術家 今井祝雄
会期|2021年2月13日(土)-5月30日(日)
会場|ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
開館時間|11:00~17:00
休館日|月曜日(祝日の場合は翌平日)
観覧料|一般300円(250円)、高大生250円(200円)
※中学生以下無料、障害のある方と付添者1名無料
※( )内は20名以上の団体料金
主催|社会福祉法人グロー
後援|滋賀県、滋賀県教育委員会、近江八幡市、近江八幡市教育委員会
協力|一般社団法人近江八幡観光物産協会、NPO法人しみんふくし滋賀、しあわせ作業所